4ページ目 - 本場で飲む格別の味! 「ジャックダニエル」の生まれた地、テネシーを行く。

ブルースを生んだ音楽の街、テネシー州メンフィス。

リンチバーグを“テネシーウイスキーの聖地”とするならば、メンフィスはまさに“音楽の殿堂”。ミシシッピ川に面したこの街は、世の中に多大なる影響を与えたブルースやソウル、ロックンロール発祥の地として知られている。エルヴィス・プレスリーの邸宅である「グレイスランド」もあり、世界中から音楽ファンが集う特別な地と言える。通りのあちこちから音楽が聞こえ、そこかしこに音楽を象ったアートも溢れているエネルギッシュな街だ。もしリンチバーグのジャックダニエル蒸溜所に行くのなら、少し足を伸ばしてもメンフィスを訪れたい。酒と音楽に酔いしれる、贅沢な時間を約束してくれる。

酒と音楽を楽しむなら、Beale STへ!

メンフィスのダウンタウンを東西に貫くビールストリートには、多くのライブハウスがひしめき合い、「ブルースの故郷」と言われる場所。夜になるといろんな音楽が店から聞こえ、ライブハウスをハシゴする人も少なくない。酒と料理を楽しむなら、最高のストリートなのだ。今回訪れたのは「B.B.KING’S BLUES CLUB」。かのB.B.キングの名を冠したこの店では、美味しい南部料理と音楽を楽しむことができる。彼らが楽しむ酒は、ビールかテネシーウイスキーと相場が決まっている。夜な夜な楽しむのも、素敵じゃない?

ブルース界に多大なる影響を与えた“キング・オブ・ブルース“、B.B.キング。ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリストにも選ばれ、その存在感は亡くなった今も変わることはない
連日、入れ替わりで様々なアーティストが演奏するので、毎日通っても退屈することはない。音楽好き、酒好きにはたまらない空間なのだ

4ozのパティが2枚入ったブルース・バーガー(15ドル99)とフライドオクラ(11ドル99)。どちらも濃い味付けで、酒のお供にピッタリ!

メンフィスの街には、エルヴィスが溢れかえってる!

ビールストリートの中ほどにあるブルースシティ・ジェネラルストア。スタッフも気さくな方ばかりなので是非お立ち寄りを!

買うのに若干勇気が必要なピンク・キャデラックをイメージしたワンショルダー(34ドル99)。でもファンなら絶対に欲しくなるアイテム。

エルヴィスのマグカップ(14ドル)は、ここブルースシティ・ジェネラルストアの隠れた人気商品。ハンドルがギターなのが洒落てる。

ロックンロール生誕の地、それがSUN STUDIO。

メンフィスが音楽の街として知られるのは、このサン・スタジオの影響も強い。録音スタジオとしてオープンしたのは1951年。1954年に、サン・スタジオのオーナーで音楽プロデューサーだったサム・フィリップスが、このスタジオで当時全く無名だったエルヴィス・プレスリーのデビュー曲「That’s All Right」を録音したことでも知られる。

サム・フィリップスは、黒人も白人も分け隔てなくレコーディングをするというスタンスでサン・スタジオをスタートさせ、それがスタジオの発展にも繋がった。B.B.キングやジュニア・パーカーなど、後に有名になる黒人ミュージシャンたちも、最初のレコーディングをここで行ったとか。白人アーティストにはジョニー・キャッシュや前述のプレスリー、ジェリー・リー・ルイスをはじめ、名だたるミュージシャンが名を連ねている。

このサン・スタジオには見学ツアーがあり、誰でも説明を聞きながら建物内を見て回れる。ロックンロールが生まれたまさにその場所に、一度は行っておきたい。音楽ファンならずとも、きっと何かを感じるはずだ。

中には音楽関係の歴史的な資料も多数。往年のレコードや貴重な当時のマガジンなど、眺めているだけでも楽しい。中には売っているモノも多数あるので、物色してみては?
サン・スタジオの2階はミュージアムスペースとなっている。サン・スタジオと関係のあった有名アーティストの愛用した品々が展示されている。見学ツアーでは、これらを回りながら詳しい説明を聞くことができるのでおすすめだ
ここが1階のスタジオ。ここで名だたるアーティストたちがレコーディングをしてきたかと思うと感慨もひとしお。天井や壁も、スタジオができた当時のままだとか。エルヴィス・プレスリーが使ったマイクの前で記念写真も撮れる
2階にあるDJブース。ここは実際にラジオ局WHBQとして使用していた場所で、人気DJだったデューイ・フィリップスが、エルヴィスのデビュー曲「That’s All Right」をオンエアしたところ、若者に大人気となったという逸話も残っている
1956年12月4日に撮影された、ロックンロール史上最も有名な写真。エルヴィス、カール・パーキンス、ジェリー・リー・ルイス、ジョニー・キャッシュによる、突然のセッション風景の様子だ。それがまさにここで行われたとは……

(出典/「Lightning 2025年7月号 Vol.375」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
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モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
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