140種あると言われるオトンナ属の中でも希少種「オトンナ・ハリー」は、小振りなサイズが愛おしい。

その奇妙で愛らしいフォルムやインテリアとしても存在感があることから、塊根植物の愛好家は急増中。そんな塊根植物の魅力にずいぶん前から傾倒し、自身のセレクトショップを立ち上げたときに、趣味が高じて塊根植物も販売し始めてしまったというオーナーが、すでに塊根植物の「沼」にハマッてしまった人や、初心者で塊根植物を育ててみたいと思っている人にもやさしくお届け! 今回はキク科、オトンナ属のなかでも南アフリカ、西ケープ州に自生するという稀少品種を紹介。

小さな希少種「オトンナ・ハリー」。

南アフリカに140種類ほど存在すると言われるキク科の植物「オトンナ属」。代表的な品種であるオトンナ・ユーフォルビオイデスなどをはじめ、日本国内で種から育成された実生株の流通が多い品種は、比較的入手しやすく人気も高いことが特徴です。

今回ご紹介するオトンナ・ハリーは、南アフリカは西ケープ州のごく限られた地域に自生する希少な品種であり、数あるオトンナ属の中でも小型種に分類されます。流通もそれほど多くない品種ですが、非常に魅力的で心をくすぐる品種です。

可愛らしい塊根と、多肉質で細長い葉。

現地では、塊根部分がほとんど地中に埋まった状態で自生しているオトンナ・ハリー。こちらは国内で種から育成された1年半ほどの実生株です。

団子状の塊根は1cm程度に成長していますが、小型種であるハリーの塊根は成長しても5㎝程度と言われています。

自生地は雨のほとんど降らない極乾燥地帯であり、過酷な夏を乗り切るために暑い時期はオトンナ属の多くが落葉し休眠します。過酷な夏が過ぎて涼しくなり、僅かな雨が降る季節になると生育期を迎えて葉を広げます。

ハリーの細長く少し厚みのある葉は、他のオトンナ属と区別しやすい靴ベラの様な形をしています。やや多肉質な葉からも乾燥地帯で育つ品種であることが伺えます。参考価格:6600

花芽を長く伸ばします。

生育期に咲く黄色く可憐な花も、キク科の植物であるオトンナ属にみられる特徴です。小さな塊根もほとんど地中に埋まり、枝を伸ばすこともないハリーですが、真上に伸びる花芽は同じオトンナ属の中でも長めです。

小型種であるハリーは、花芽を長く伸ばすことにより背の低さを補い、受粉をしやすくしているのかもしれません。

小さな塊根から長い花芽を伸ばし、小さく可憐な花を咲かした姿はとても愛おしく感じます。

オトンナの中では、目にする機会も少ないハリーですが、出会えた時は是非お迎えしたいオススメ品種です。

【DATA】
BIZARRE GREEN
長野県長野市篠ノ井布施高田879-1
TEL026-247-8160
営業時間 11時~20時 火曜定休
https://www.bizarre-green.com

この記事を書いた人
傳田達朗
この記事を書いた人

傳田達朗

塊根植物案内人

セレクトショップ 「BIZARRE GREEN」オーナー。約20年勤務したアパレルメーカーで商品企画やプレスを担当。2019年に独立し、地元である長野市にアパレルをメインに趣味の延長で植物も扱うセレクトショップBIZARRE GREEN(ビザールグリーン)をオープン。植物以外の趣味はヴィンテージ雑貨の収集など。
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