ミリタリージャケットの変遷を辿れ! アメリカ空軍の代表アウター、フライトジャケットは素材が変化し新時代へ。

1947年に誕生した米空軍。そこで使われていたアウターの歴史に着目し、年表と主にアイテムを紹介してく。代表アイテムのフライトジャケットは天然素材からナイロンに変わっていくなど、時代とともに変化するアウターの変遷を追う。

CONTENTS

アメリカ空軍の主要なミリタリーアウターの変遷。【1910~1970年代】

1947年、米陸軍航空隊から独立して単独の組織として誕生したのが米空軍である。それまで天然素材を主としたクラシックな仕様だったフライトジャケットは、そのシンボルカラーであるエアフォースブルーを纏ったナイロン素材のものへと変更され、新時代へと突入した。

1914年 第一次世界大戦勃発

1918年 第一次世界大戦終結

1931年 米陸軍航空隊がA‒1の後継モデルとしてA‒2を採用

第2次大戦期に米陸軍航空隊のライトゾーン用フライトJKTとして使用されたA-2。夏用として1930年に実験開始し、31年に制式採用された

1934年 爆撃機搭乗員たちが着用するシープシェアリングのB‒3を採用

第2次大戦中、米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員たちに愛用され、“ボマージャケット” と呼ばれたB-3。B-2の後継モデルとして1934年5月8日に採用

1939年 第二次世界大戦勃発

1939年 米陸軍航空隊の防寒用フライトジャケットとしてB‒6を採用

インターミディエイト用のフライトJKTとして開発されたB-6は第2次大戦中に採用。後のMA-1の原型になったモデルだ

1941年 アラスカなど極寒冷地での使用を目的にB‒7を採用

米陸軍航空隊がアラスカなどの極寒冷地用に開発したB-7。1941年7月12日に採用して’42年まで生産された。耐久性と価格が問題になり、B-9へと引き継がれていく

1943年 贅沢な羊毛革の使用廃止を受けて、ダウン素材を使用したB‒9を採用

コットンシェルにアルパカライニングを組み合わせた、高い防寒性を発揮するB-11。A-10フライング・トラウザーズと組み合わせて使用できる

1943年 高価なダウン素材のコスト高を受けて、アルパカ素材を使用したB‒11を採用

一見B-11に似ているが、ライニングにダウンを初採用したのがB-9。ヘビーゾーンからベリーヘビーゾーンの気温域に対応 する防寒性が特徴だ

1943年 布帛製のフライトジャケットであるB‒10を採用

コットンシェルにアルパカライニングというB-15に繋がる仕様が特徴のB-10は、1943年に採用。比較的暖かい地域で任務 にあたる爆撃機や戦闘機の飛行士に愛用された

1944年 米陸軍航空隊の極寒地作業用アウターとしてD‒2を採用

羊毛シアリングのD-1の後を継いで登場したD-2。エアクラフトメカニクスJKTで、アウターシャルとライニングを分離でき、アウターシェルは雨具にもなる仕様だ

1944年 B‒10を発展させたB‒15フライトジャケットが登場

B-15のクラシックな素材使いはそのままにレザーの三角タブなどマイナーチェンジがなされたB-15A。第2次大戦末期に登 場したフライトJKTで、機能性、生産性に優れる

1944年 同年、B‒15を発展させたB‒15Aが登場

MA-1に続く当時としては近代的なデザインとコットンシェル、アルパカライニングというクラシックな仕様を組み合わせたB-15。1944年に登場

1945年 第二次世界大戦終結

1945年 A‒2に変わる新型ライトゾーン用アウターとしてL‒2を採用

A-2に代わるフライトJKTとして開発されたのがL-2。高価で大量生産が難しく、取り扱いも注意が必要という問題をナイロン素材にすることで一挙に解決させたのだ

1945年 B‒15Aを発展させたB‒15Bが登場

B-15シリーズ初のナイロン版として1945年8月29日に制定されたB-15B。この時期にライトゾーン用のL-2、ヘビーゾーン用のN-2・N-3も採用され、米陸軍航空隊のフライトJKTはナイロンに切り替えられた

1945年 新型ヘビーゾーン用のフライトジャケットとしてN‒2を採用

1945年に採用した一連のナイロン素材を初採用したフライトJKTのひとつ、N-2。保温性と運動性を考慮し、B-15とB-11の 中間的なものとしてデザインされた

1945年 航空機搭乗員用のフード付きアウターとしてN‒3を採用

第二次世界大戦の終わり頃に開発されたナイロン素材のフライトJKTのひとつがN-3。B-11 の延長上のモデルとして開発され、フード付きという点も大きな特徴

1947年 米陸軍航空隊(USAAF)から独立して米空軍(USAF)が編成され、それに伴い新たなシンボルカラー“エアフォース・ブルー”が登場

1950年 朝鮮戦争勃発

この記事を書いた人
ADちゃん
この記事を書いた人

ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...