実録!! デニムの色落ちレポート【猛暑の夏前編】

ジーンズがなぜここまで愛好家を生むのかは、穿くほどに色落ちするから。つまり穿き手の使用頻度や洗濯の回数などによって、それぞれの個性が生まれて自分だけの1本へと成長するという、衣類の中でもレザーアイテム同様に「経年変化」という唯一無二の楽しみがあるから。そこで1本のジーンズがどのように色落ちしていくかをレポートしてみようというのがこの記事なのです。

おろしたてのジーンズはあまり表情がないけれど。

今回レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。

色落ちだけでなく、独特なザラ感を持ったオリジナルデニムが世界中で評判になっている同ブランドだけに、その色落ちが楽しみ。

今回は初回なのであまりトピックスは無いけれど、今後がどうなっていくか楽しみである。

通常、ジーンズが雰囲気のある色落ちが出てくるまでは何年もかかることは周知の事実。

果たしてそれまでこのレポートが続くのか。できるかぎりやっていきますよ。

写真上が今回実際に穿き込んでみようとトライするマルチインディゴ・クラシックストレート。本来ピュアブルージャパンでは展開していないクラッシックな雰囲気のゆったりとしたストレートになったモデル。

またバックヨークやベルトループに本藍染めのデニムで切り返すというオリジナリティあふれるモデル。生地は旧式の力織機で織り上げたセルビッジ付きの14オンスになる。

このモデルの詳細はこちらの記事に。

ついに販売始めます! わがままを詰め込んだマルチインディゴ・クラシックストレートが完成!!

ついに販売始めます! わがままを詰め込んだマルチインディゴ・クラシックストレートが完成!!

2023年04月25日

穿き始める前にワンウォッシュ。

まずジーンズを購入したら最初にすることは何か? それは裾上げ。筆者はどんなデニムでも裾が余ってしまう(笑)ので、穿き始める前にまずは裾上げに出すわけ。

裾上げしないでジーンズを穿ける人がうらやましい。裾上げ後は新たに縫い直された裾部分に生地のパッカリングが出ていないので、このまま穿かずに一度ワンウォッシュすることに。裏返しにして洗濯機に入れ、脱水後に天日干し。

今回はあえてデニム専用の洗剤は使わず、家庭用の洗濯洗剤で洗濯。あえて一般的な方法でどういった経年変化が起こるのか試してみようと。今後も洗濯はこの方法にする予定。

もちろん天気予報を見て、間違いなく晴れの一日を狙って敢行。上の写真は乾燥後の状態。新たに裾上げした箇所も縫製糸が縮むことによって生地がねじれてパッカリングが出たので、ここから穿き込みスタート。

約1カ月の穿き込み。変化はあまりないけれどポテンシャルは感じる。

そこからいよいよ穿き込み開始。穿き込み頻度は週5日程度が平均。穿き始めたのは今年の5月からだったが、次第に暑くなっていく気温に、早くも夏場が不安(笑)。

約1カ月穿き込んだ感想は、製品状態と裾上げ後に合計2回洗濯しているので、日常穿いていて手が青くなることは最初の2週間ほどだったような。

手がうっすらと青くなる=色落ちが始まっている、ということなので、手洗い頻度は増えるけどなぜかうれしい。

で、実際どうなったかというと、デニム自体にはそれほど色の変化はないけれど、生地表面が毛羽立ってきた。これもさらにここから穿いていけば、この毛羽立ちは無くなっていくと想像。昔はこの毛羽立ちをライターであぶっている人もいたようだけど、今回は放置。なりゆきに任せます。数少ない変化といえば膝部分が出てきたくらい。

ディテールでは色落ちと呼べるほどの経年変化はまだだけど、バックヨークの縫製部分などにパッカリングができて、アタリ感が生まれ始めた。

生地が毛羽立ってきたのが目立つ。これはこのまま穿いていけば気がつけば無くなっているはず。ザラ感のある生地ではあるけれど、1カ月の穿き込みではまだタテ落ち感も感じない
デスクワークやクルマの運転もするせいか、バックの方が変化あり。ヨーク部分の縫製部分は生地が波打つパッカリングが強調され、凸部分は色が落ちてきている。さらにバックポケット上部の各リベット部分に少し色落ちが。ちなみに1カ月間は洗濯はしていない

まだ1カ月の穿き込みなので、見た目のほとんど変化がない。今後、このモデルの色落ちレポートは不定期でしていくので、どんな変化が生まれるのかお楽しみに。

【基本データ】
トータル穿き込み期間:約1カ月
穿き込み頻度:週5日程度
トータル洗濯回数:2回

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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