【東京横丁酒場ガイド】赤垣(浅草)|100年続く下町酒場で味わえる極上の魚と会話。

”せんべろ”や”ハシゴ酒””ネオ大衆酒場”などが昭和時代を知らない若者の間で流行っている今、「安くて旨い」横丁酒場が人気を集めている。しかし、それだけで選んでしまうのはモッタイナイ。なぜなら歴史の長い横丁酒場には必ず「物語」があるのだから。浅草でおいしい魚を安く食べたかったら名が挙がる「赤垣」は創業100年以上の老舗下町酒場だ。料理、そして店員や客との会話など、この店だからこその魅力が溢れている。

新鮮な刺身の美しさと味が自慢。

店名は兵庫赤穂出身の初代店主が、「徳利の別れ」で有名な、四十七士の赤垣源蔵に因んで付けた

浅草でおいしい魚を安く食べたかったら、まず間違いない店だ。大正6(1917)年創業で、暖簾には「正一合の店」とある。現在流通する徳利の大半が8(144cc)だが、そのまやかしを糺す、こんな店がかつてはあったのだ。今年62歳の店主の吉水正さんは3代目。4代目の息子の尚人さんと息の合った仕事ぶりを見せる。

仲睦まじい親子の会話に心温まり、揃って腕を振るう様を見れば、頼もしさが込み上げる。こんな店が下町にはまだ溢れている

2代目の頃はトロブツと煮込みとおでんが看板メニュー。近所の魚屋で買った刺身を客が持ち込むような大らかさがあったという。今はむろんそれも自家製で、あっさりめの〆鯖にすっきりした秋田の銘酒、高清水純米が進む進む……

カウンターの隅で飲んでいたら、看板が近づくにつれ、手が空いた女将の麻里さん(秋田美人)が常連客と歓談し出した。その会話にぼくも巻き込まれ、いつしか同席に……。下町ホスピタリティとはこのことなり!

舘ひろしに似ているキリっとした印象の店主。昔は野球投手としてスライダーが得意だった
正さんの代で建て替える前は、扉もガタピシで隙間風が漏れたとか

「赤垣」のおすすめ料理。

白えびのかきあげ(700)は、サクサクのころもにトロっとした白えびが絶妙。料亭で修業した4代目の匠の業が発揮されている。

DATA
赤垣
東京都台東区浅草 1-23-3
TEL03-3844-2327
営業/17時~23
休み/水曜

※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/別冊Lightning Vol.209TOKYOノスタルジック横丁」)

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