貴重なヴィンテージ生地で帽子をハンドメイドする、ファットハッターの新レーベル誕生。

ヴィンテージの生地を使って帽子を作る専門ブランド。しかも生地の裁断から縫製まですべての工程を自社で行う。そんな面白いプロジェクトが、今年の2月からスタートした。その全貌を今回ここで紹介しよう。

オーナーの菊地さんは現在ヴィンテージ生地の買い付けに夢中!!

ファッションとして我々が愛用している帽子は、欧米が発祥のものがほとんど。つまり洋服の文化の中で生まれたものである。そのため、帽子のカタチは一緒でも、実は作る工程や縫製仕様などに日本製のものと欧米製のものでは細かな違いが存在するという。

そんな細かいディテールまでも追及し、欧米の老舗ブランドが作った、昔ながらの帽子作りにこだわり続けるファットハッターが、新たなプロジェクトをスタートさせた。それが『FACTORY&CO.』というレーベルだ。

これは、入手困難なヴィンテージ生地、時にはヴィンテージのウエアやストールなどを解体して生地にし、それを自社アトリエにて職人が裁断から縫製まですべての工程を行って帽子に仕上げるという、画期的なプロジェクト。菊地さん曰く、海外でこのような取り組みをしているブランドは稀に存在するというが、日本で帽子ブランドが手掛けるのは初の試みになるそう。

ブルキナファソのモシ族のインディゴ染めストール。約10㎝幅とかなり生地幅が狭いため、それを接いでストールに仕立てている

デッドストック生地を使ったレギュラー企画は、生地選びからオーダー可能だが、希少性の高いヴィンテージウエアなどを解体した生地を使うスペシャル企画は、オーダー不可で生地を見つけては不定期に数量限定でリリースする予定。ダニー・ハサウェイに由来する”ヒルビリー”と名付けたキャスケットを軸に展開する。一点モノとしての価値も高く、目が離せない存在になるはずだ。

ヴィンテージならではの” 4つ割れ”仕様のスナップボタンは、かのボタンワークスが製作。それをファットハッターでエイジング加工している

熟練の職人がすべての工程を自社アトリエでひとりで行うため生産数は超限定!

こちらは希少なブルキナファソのモシ族のインディゴ染めストールを使ったキャスケットを制作中。8枚のパーツを接いでクラウンに仕上げていく工程の一葉。

あまりに希少な生地のため、無駄の内容に丁寧にパターン取りして裁断。それをひとつずつミシンで縫製していくのだ。

キャスケットのツバに入れる芯材もアトリエでハンドメイドするこだわりよう。見えない部分も抜かりなく追及するのがファットハッターの流儀。

「スベリ」と呼ばれる帽子の被り口の裏部分のレザーを、欧米式の” Iステッチ”で縫製している一葉。この縫製をできるのは、日本ではファットハッターだけ。

こうして出来上がった、「FACTORY & CO.」のヴィンテージのように一点モノとしての価値もある逸品。

クラウンをどちらかに寄せて着用するのがこのキャスケットの正しい被り方だ!

“ヒルビリー” と名付けられたこのキャスケットが、FACTORY & CO.のアイコン的な存在だ。ブルキナファソのインディゴ染めストールのような希少価値の高いヴィンテージ生地を使ったスペシャル企画は4万6200円、デッドストックの反物を使ったレギュラー企画は、生地選びからオーダー可能で2万4000 ~ 3万円で展開。

1940年代のライトオンスデニムを使用

ダニー・ハサウェイを彷彿とさせる大きめのクラウンが特徴的なキャスケット、HILL BILLY。

スベリ部分はレザーを使用。モデル名やブランド名などが奢られている。

実はツバとクラウンのフロント中央にスナップボタンが隠れている。4つ割れのヴィンテージ仕様でエイジング加工済みで、ヴィンテージ生地との風合いも抜群。

バックサイドには、FACTORY & CO. のドッグタグが付く。この縫製を外すとキーホルダーのようにも使うことができる。こちらもエイジング加工済み。

1940年代のライトオンスデニム

デッドストックのキャンバス生地

1930〜’40年代のブルキナファソのモシ族のインディゴ染めストライプストール

1930〜’40年代のブルキナファソの モシ族のインディゴ染めストール
まるでスクリーンの中から飛び出してきたような雰囲気を楽しめる!

【問い合わせ】
THE FAT HATTER
TEL03-6450-6506
https://thefathatter.com/shop/

(出典/「Lightning 2023年5月号 Vol.349」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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