英国で、土臭さを払拭しスーパーカー並みにカスタムされた「ランドローバー・ディフェンダー」。

軍用車両としても活躍し、欧州車のヘビーデューティカーの代表格ともいえるランドローバー・ディフェンダー。そんなタフなクルマをさらに改造。そのスペックをモンスターへと変貌させるホットなファクトリーが英国にあった。

▼同じくディフェンダーを“クール”にフルレストアしている再生工場はこちらの記事をチェック!

絶版車のランドローバー・ディフェンダーが蘇る、ポルトガルの再生工場。

絶版車のランドローバー・ディフェンダーが蘇る、ポルトガルの再生工場。

2023年02月21日

ディフェンダーと言えば質実剛健。軍用車両として採用されるくらいのタフさが売りだけど、正直スピードやパワーといった部分ではそれほど重要視されていない。

でも本来のヘビーデューティなイメージはそのままに、パワーもスピードもあったらどんなクルマになるのかを追求しているのが英国はヨークシャーにある「ツイステッド」だ。

ここはディフェンダー専門のチューニングメーカーで、エンジンから足回りまでスポーツカーも顔負けのスタイルに変貌させる。

しかもベースになるのはデッドストックの新車がメイン。牧歌的ではなく、アーバンでホットなディフェンダーがここにある。その内部を覗いてみよう。

基本的にベース車両となるのは現代モデル。ヴィンテージモデルはほとんど扱わない。最終モデルの新車も大量に購入し、新車ベースでカスタマイズする。

ファクトリーは実際の作業スペースとショールームに分かれている。精悍なルックスに仕上げるため、ボディカラーはブラックを中心としたダークトーンが多い。

油まみれの泥臭いファクトリーとは無縁のクリーンな空間で1台1台ハンドメイドによってチューニングされていく。オーナーのわがままにも対応可能だ。

英国のソリハル工場で生産された2016年式の最終モデルを240台購入し、現在でも80台をストックしているという。ベース車両には困らないというわけ。

多数のリフトを完備した近代的なファクトリーには同時に多くのディフェンダーが生まれ変わろうとしている。吊しでは満足しない人たちって多いのね。

ファクトリーには近代的な塗装ブースも完備。機関系から外装、インテリアまですべて自社の腕利きの職人たちによってカスタムされる。

本来の良さはリスペクトしつつ、あらゆる部分を向上させることによって、その魅力をもうひとつ上のステージにするのがここの存在価値だと代表のチャールズは語ってくれた。

メカニックたちが手作業で作り上げていく。ここでは足回りを独自に開発したディフェンダー専用のプログレッシブ・ブレーキング・サスペンションに換装しているほど。

運転していたら外装は見えない。ドライバーの気分を高めてくれるのはむしろ内装が重要。防音性を高め、レザーインテリアにするなどのアップデートがされる。

ここが得意とするのはシボレー・コルベットにも搭載されるGM製のLS3エンジン(オールアルミ製6.2リッターV8)への換装。つまりはコルベットと同じエンジンパフォーマンスを味わえる。極めて凶暴。

完成車は凶暴にしてタフ、土臭さを払拭したモンスター。

デビュー当時から大幅なデザイン変更もされることなく2016年まで生産されていたディフェンダーだが、ここんちの手にかかればご覧のようなスパルタンでアーバンな仕様へと大変身。エンジン換装から足回り、インテリアまですべての場所に手が入っているけど、ディフェンダー本来のデザインを大幅には変更していない。走行性能はもはやスーパーカーとも肩を並べるほど。

シートや内装はすべてレザー張りに変更され、ステアリングも換装。ノーマルの簡素な室内が高級車へと変貌する
スタイリングをより強調するのが太いタ イヤとブリスターフェンダーの存在。男 子は張り出したフェンダーに弱いからね
完成車に付くオリジナルのエンブレムも誇らしげ。気になる価格は110ベースのノーマルエンジン車で7万5000ポンド
こちらはツイステッドのロゴが入るカバーが付けられたLS3エンジンを搭載。430馬力の強心臓。遅いわけがない

最終現行品を240台も購入し、独自のカスタムを施されたディフェンダーは特別な一台に。スパルタンでアーバンな完成車を見ると、日本でも乗りこなしたくなってしまう。これは街で走っていたら二度見されるだろうね。

【問い合わせ】
ツイステッド
TEL+44-(0)1845-574-990
http://twistedautomotive.com

(出典/「Lightning 2019年2月号 Vol.298」)

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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