40代の青春の象徴!「レッドウィング」のスーパーソールが、今また気になる!

1980〜’90年代に青春を過ごした、現在40代のおじさんたちは30余年の歳月を経て、あの時代を席巻した青春のーツが恋しくなっているのではないだろうか? 憧れのブーツや、履きつぶしたり手放したりしたあのブーツ……オヤジになったからこそ、もう一度履きたいのが男ゴコロなのである。

なかでもいまLightning編集部がもっとも気になっているのが「レッドウィング」のスーパーソール。これぞまさしく青春の象徴。この佇まい、いま見れば見るほどすごく都会的でカッコよくない? ’80~’90sムーブメント再燃中のいま再注目の「スーパーソール」についてその魅力をお伝えしよう。

スーパーソールは1977年に発売!

Lightning編集部員は、みんな40代。つまり1990年代に青春時代を過ごした同世代だ。最年長のモヒカン小川(革ジャン専門家としても活動中)は、’80年代後半から始まったバリバリの渋カジ世代で、私ランボルギーニ三浦(元有名古着屋スタッフの過去あり)は、’90年代初め〜半ばのヴィンテージブーム世代である。そんな異なる世代の2人にとっての“青春ブーツ”は、やはりともに「レッドウィング」。

当時最も好きだったのが、小川はエンジニアブーツで、三浦は6インチ丈の#875だった。面白いのは、いま「当時を最も連想させるブーツ」として振り返ると、両者がなぜかスーパーソールを挙げてしまうこと。それほど、このビジュアルが脳裏に焼き付いていたのだ。

1990年代を想起させるのが、やはりオロラセット「ポーテージ」という通称“赤茶” のレザーだろう。スーパーソールとのコントラストが、青春時代の思い出を走馬灯のように蘇らせてくれるのだ

スーパーソールは、1977年(昭和52年)に誕生。ワークブーツ業界において低コスト化が進み、セメント製法が流行したことから、それに呼応するように生まれた。

時計業界でムーブメントの主流が、機械式からクオーツ式に移行したのもこの頃だし、アウトドアウエアが天然素材から化繊素材へ、急激に進化していったのもこの時代だ。全ての業界で技術革新によって効率化が図られ、新たなプロダクツが誕生する過渡期だったということである。

こちらはレッドウィングのアメリカ本社に残っていた資料のうちの1枚。1968年のもので、スーパーソールが誕生する約10年前から、すでにウレタン素材のソールを鋳型で作っていたということが分かる、貴重な写真である
ソールを圧着する一般的なセメント製法と異なり、レッドウィングのスーパーソール製法は、ウエルトを縫い付けたアッパーを使うのが大きな特徴のひとつ。オイルドレザーのアッパーに圧着するため、ウエルトにファイバー素材を塗布

このように、’77年に特許を取得したこのスーパーソール製法によるワークブーツは、「レッドウィング」の作業靴マーケット向けの主流となり、現在まで作り続けている。

しかし、この6インチ丈のモックトゥのモデルにおいては、’90年代に日本でファッションとして注目され、以来ずっと日本ではファッションの対象として浸透している。だからこそ、’90年代ムーブメント再燃中の現在、また履きたくて、しょうがないのだ。

スーパーソールとは製法の名前で、実はアメリカの作業靴では様々なソールパターンが存在している。’90年代に注目されて以来、我々に馴染みのパターンがこちら。グリップ力、耐久性、クッション性に優れており、都会のアスファルトでの使用にも打ってつけだ!

ヴィンテージモデルには、さまざまな種類のスーパーソールが存在。

スーパーソールというと、日本では6インチ丈のモックトゥモデルが象徴的な存在になっているが、アメリカではあらゆるワークブーツ(作業靴)に採用されている製法なのだ。そのため、日本では見かけたことのないモデルがたくさん存在しており、その一部を紹介しよう。

【1980s】RED WING #807

ダークグリーンのカンガルーレザーをアッパーに使った、アイリッシュセッターの#807という8インチ丈のモデル。一見#877に似ているが、シューホールの仕様が異なっており、スーパーソールを装備している。シュータンにある刻印から1984年9月に製造されたと推測される。

アイリッシュセッターのラベルは、MADE IN U.S.A.表記。これ以前はMADE IN AMERICA表記だった
スーパーソールのパターンは現行(先に紹介した写真)とほとんど同じもの。唯一の違いはOIL RESISTANTという言葉が中央部分に入っていないことである

【1990s】RED WING #4412

スチールトゥキャップを装備したPT91規格のワークブーツ。一見するとクラシックな顔付きでドレッシーな印象も受けるシンプルなプレーントゥブーツだが、靴底はスーパーソールを装備。履き口後ろ側にお馴染みのクッションプロテクトは施されていない点にも注目したい。

【2000s】RED WING #4473

ジッパーユニットを装備した、8インチ丈の通称ファイヤーマンブーツ。スチールトゥを装備したPT99規格のもので、スーパーソールが施されている。日本未発売モデルということで、ほとんど見かけることのないレアな1足といえるだろう。

フィット感に優れていて疲れにくい! スニーカー感覚で楽しめるのが魅力。

スーパーソールの6インチ・モックトゥは、昔ながらの佇まいなのに、洗練されていて都会的な印象。履くとドレスシューズのような端正な顔立ちなので、コーディネイトを選ばないのも魅力的だ。最後に市場在庫や中古でぜひ手に入れてほしいおすすめのスーパーソールを紹介しよう。

まずは右から。「SUPERSOLE 6” MOC-TOE #8133」は’90年代にファッション誌で取り上げられて、一気にファッションアイコンとなったモデル。ブラックで統一した精悍な顔付きがスタイリッシュで都会的。ヴィンテージ基調のカジュアルからモードまで、その着こなし幅の広さはピカイチだ。

続いて中央が、最も’90年代らしい、通称赤茶と呼ばれるオロラセット「ポーテージ」というレザーを使った「SUPERSOLE 6” MOC-TOE #8804」。残念ながら生産中止となってしまい、現在は市場に出ている分だけ。いま再び履きたいという方は、急いで探すことをオススメする。

最後に左が「SUPERSOLE 6” MOC-TOE #8802」。1990年代に存在した、ホーソーン・アビレーン・ラフアウトを使ったスーパーソール#8118というモデルと似ているが、こちらは防水性の高いモハベレザーをスーパーソールに採用した#8802というモデル。

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(出典/「Lightning 2021年2月号 Vol.322」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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