単なる機械を超越した、本物のナックル「1946年式ヴィンテージ・ハーレー」。

10代で古着の世界に傾倒し、後にヴィンテージレザージャケット専門店をオープンさせた「サンセットベイ」代表・ジャーニー加藤さん。現在は豊富な知見と経験を活かし、シンプルで実用性に優れたオリジナルレザージャケットを製作している。彼の愛する、ヴィンテージハーレーとは? お話を伺った。

旧きよきハーレーの王道を行くモーターサイクル。

「ナックルが好きと言うよりはこの子が好きなんです。最初に出会った時の印象がすごくて、ひと目見て欲しいと思ったんです。絶対に売りに出ないと聞いてたので諦めてたんですけど、2年前にタイミング良く売る話が来て何も聞かずに買いました」

シンプルで日本人の体にフィットする、実用的なオリジナルのライダースジャケットを製作している加藤さん。

10代の頃から古着店に足繁く通い、そこでヴィンテージバイクに乗り、革ジャンを着ていた先輩たちのかっこよさに衝撃を受けた。

そして自らもそうなりたいと、ハーレーのパンヘッドチョッパーを経て、このナックルヘッドに辿り着いた。

ヴィンテージハーレーの魅力は、生き物みたいなところだという。

ガソリンを送り込み上死点を確かめ、キックペダルを勢いよく踏み下ろすエンジン始動の所作は旧車乗りの儀式のようなもの。時に機嫌が悪いこともあり、機械なのに生き物のように思えてくることもあると言う

エンジンをかけるまでの作業も、メインテナンスを必要とすることも、知らない人から見れば面倒でしかない。昨日は調子よかったのに今日は……、ということもある。

しかしそれも自分にとっては、心の火を灯して走り出すための会話のようなものだという。

「ナックルは自分にとってのオプションではなくて鏡。ファッションともリンクする、自分自身を体現できる乗り物。単なるバイクだけで終わってないですよね。何十年も前に作られたのに走る本当にすごいモノ。リスペクトです」

深い海の緑をイメージしたCLYDEのシーグリーン。近年は顔料で着色するものが多いが、着込んだ先の自然な経年変化を考慮して染料で革を染めている

1946 H-D FLのディテールを拝見!

初めてOHV(オーバーヘッドバルブ)機構を導入し1936〜’47年まで生産されたナックルヘッド。1000㏄のE、ELと1200㏄のF、FLがあった。ハーレーダビッドソンを代表する傑作車のひとつで、希少価値が非常に高いレアなモデルだ。

純正スピードメーターと2ライトのキャッツアイメーターダッシュ。ヴィンテージバイクの魅力のひとつは現行モデルにはないディテールのデザイン。

ヴィンテージハーレーの大きな特徴であるハンドチェンジ+フットクラッチ。左足でクラッチを操作し左手でシフトする操作感は独特で面白い。

スプリングマウントの純正ソロサドルシートはアトリエチェリーが製作を担当。本革のシートは使い込むほどに馴染み、時と共に変化していく。

【取材協力】
サンセットベイ
TEL0467-84-7740
http://sunsetbay.jp

(出典:「Lightning Vol.283」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...