日本のスケートボードシーンを創ったリビングレジェンド・アキ秋山さんのお宝拝見!

日本で最初にスケートボードをすることでお金を手にする、プロという流れを創り出した人物をご存知だろうか!? その方こそ、現在大森にて創作居酒屋「次男棒」を営むアキ秋山こと秋山弘宣氏に他ならない。そこにはスケートボードの歴史を紡ぐ貴重なモノで溢れていた。

日本のスケートボードシーンを創ったリビング・レジェンド、アキ秋山。

’75年に開催された第1回スケートボード世界選手権に出場して5位に入賞。そこから毎年渡米を続け、プロスケーターとしての道を切り開いてきたアキ秋山さん。

趣ある木製のパネルに収められている写真は、アキ秋山さんが日本で初めてハンドプラントをメイクした記念すべき一枚。1975年に千葉に造られた太東スケートボードセンターにて撮影された。横に写っているのは当時8〜9歳だったプロサーファーの中村大輔。1976年の出来事だ

「今回は自分が創り出し、築き上げてきたスケートボードシーンがわかるものを出してみたんだ。っていうのも、’70年代はスケートボードシーンなんて確立されてないから、自分で生み出さなければならなかった。新しいトリックをメイクすることだってそうだし、世界戦への出場やスケートパークのプロデュースもそう。今まで誰もやったことがなかったら、それなら自分がやってやろうって思ったんだよ。そこで俺は日本初のトリックもメイクしたし、多くの本やTV番組も監修したよ。スケートボード協会のAJSAを作ったのだって俺なんだから」

日本のスケート史を紡ぐ貴重なアイテムたち。

そんな彼だからこそ、紹介するアイテムには重みが詰まっている。貴重な品々をお見せしよう。

上野にあった伝説のショップMAX MOTIONのデッキ。

アキさんが22〜23歳の頃に乗っていた上野のショップ、MAX MOTIONのデッキ。裏にポリカーボネイトが貼ってありツルツルとしたルックスが当時の名残。40年前のコンプリートが現存していることに驚きだ。

当時、実際に使っていたボードも現存。

アキさんが’77年にコンペティションで実際に使っていたG&S(ゴードン&スミス)のワープテイルモデル。それをスラローム用にカットし、当時の所属チームであったTHE SURFのステッカーを貼っている。

レジェンドアワードを獲得した時の盾と記事。

スケート史にその名を刻むメディア「TRANSWORLDSKATEboarding JAPAN」誌にて、こちらも初となるレジェンドアワードを獲得した時の盾とその時の記事。当時で51歳にも関わらず、コーピングオーバーのスタイリッシュなバックサイドエアーを披露。

日本のスケートボードの“ルーツ”が詰まったブランド。

「この“ルーツ” という言葉は、俺たちにこそ使う権利があると思わないか」と兄弟でスタートさせたRoots。 確かにこの2人だからこそ使えるネーミングだ

‘94年に日本初のプロスケーターであるアキ秋山と、その弟で日本初のスケーターズカンパニーのオーナーであるカツ秋山の兄弟で立ち上げたブランドがRoots Skateboards。

最初にリリースしたプロモデルが、ここにあるアキさんのプロスケートボーダー20周年を記念する”TRANSMIT” モデルだ。他にもこのようにあえて合板を使わずに一枚物の板を削りだして作ったロングボードもリリースするなど、 人と物との両面からスケートボードの歴史を辿り、その進化を再現してきた稀有なブランドといえる。

「今回出したモノは、俺の40年以上のスケート歴の節目に作ったアニバーサリーデッキとかいろいろあるんだけど、プレスひとつとってもしっかりとした理由があるんだ。よく見ると所々にくぼみがあるんだけど、これはグラブをするベストの位置であって、そこを掴むと自分が長年やってきて行き着いた最もスタイリッシュな形になるんだ。面白いだろ!?」

そこにはシーンを創り上げてきたアキ秋山さんだからこそ語れる深いストーリーが存在していた。

次男棒の店内は、ご覧のようにカウンターが横並びになったこじんまりとしたアットホームな雰囲気。奥のテレビで流れているのは、もちろんスケートボードの映像だ
グラスに貼られた次男棒のオリジナルステッカー。9枚1500円のチケットを購入し、そのチケットでの支払うお店のルールをグラフィックで表現している
店内にはスケートボードにまつわる貴重なギアや資料が数多く置かれている。中には’80年代のTV番組やアキさんが出ている’70年代のスケート雑誌も。お店の常連になれば、もしかしたら他の貴重な資料も見ることができるかも!?

【DATA】
次男棒
東京都大田区大森北 1-36-10
TEL080-5687-1125
営業/17:00〜24:00
休み/月曜
http://jinanboh.jugem.jp

(出典/「Lightning 2019年5月号 Vol.301」)

この記事を書いた人
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