【リノベーション倉庫⑩】北海道にある、木造倉庫を利用した温もりカフェ「タムラ倉庫」|北海道・札幌

北海道の札幌に飲食店を構えるタムラ倉庫は、その名の通り倉庫そのもの。店内は手作り感満載で、訪れるたびにどこかしら変化している。木の温もりに溢れた空間にいざ潜入。

木材を活かした電球カラーが温かい木造倉庫。

外観は倉庫そのもので店には決して見えない。入り口の扉のみ改修している

ここが飲食店だとどうやって気付けるだろうか。外観は見ての通り倉庫。近寄ると営業時間が書かれた看板が立てかけられているだけ。入り口は北国特有の二重扉でガラス戸から内部の様子は覗けない。中を確かめるべく、いざ進入。

事務所スペースだった場所を厨房にし、壁を壊してオープンに

内部は窓がなく、電球の明かりが室内全体を優しく照らし出す。壁面のベニヤ板と木製の天井が温もりを増しているようだ。

倉庫内の鉄柱を切断してカウンターの脚に活用

「今年で築約50年の木造二階建てです。うちが入る前はクルマ屋の部品などを置く倉庫として使われていたようです。それより前は、人の出入りがある事務所として使われていたみたいですね」

そう教えてくれたのは、「タムラ倉庫」店主の滝本忍さん。大工の手を借りながら自らも改修に関わった。入ってすぐの場所にあった階段は、入口付近のスペースを確保するために奥へ移築。また冬の寒さをしのぐため、壁とベニヤ板の間に断熱材を入れた。

入口近くにあった階段は奥へ移築した。二階は物置として使用中

壁をよく見ると……あれ、まだ塗り途中? カウンター席側の壁から続くグレーのペンキは、奥の階段手前で終わっている。

「半分まで塗って、やっぱり違うかなと思ってやめました(笑)。何も施していない壁は、これから作っていきたいと思います」

そんな店内のインテリアは、大学で使わなくなった机、リサイクルショップで購入したさまざまな椅子、跳び箱など、個性がありながらどこか懐かしさを感じるものばかり。

「骨董品のような堅苦しいものではなく、“お客さんの知っている旧さ”を基準にしています。『何か自分もできるかも』と思ってもらえるくらいがいい(笑)。お店の使い方もお客さんにお任せ。今後はイベントの開催も考えています」

玄関フード。扉や壁面の板は改装時に出てきた廃材を利用している

滝本さんの飾らない人柄と、倉庫内に散りばめられたさまざまな“隙”。気を張らず自分らしく過ごせる空間が、店内を賑わしている理由なのかもしれない。

 

外観はご覧のとおり倉庫そのもの。一歩中に入ると、無機質な空間が広がっているのかと思いきや、天井やインテリアに木材を使用した温もりを感じる内装に少し驚く。随所に昔懐かしい跳び箱やおもちゃがあり、少年に戻ったような感覚を味わえるのも札幌のカフェ。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

【DATA】
北海道札幌市白石区平和通7丁目南5-11
TEL011-863-1090
営業/11:00〜22:00、月・金曜〜17:00
休み/火曜

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(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)

この記事を書いた人
めぐミルク
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めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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