レッドウィング(RED WING)の定番、「チャッカ」「ロメオ」「オックスフォード」でドレスにキメろ。

レッドウィングと言えば、アメカジ好きならお馴染みのワークブーツのブランド。“キング・オブ~”なる呼称で叫ばれることも多々あるわけだから、今も昔も男のためのワークブーツの象徴として君臨し続けているはずだ。

そんなレッドウィングのなかでも、近年ドレス顔したブーツや、オックスフォードタイプのシューズが徐々に人気を高めているのをご存じだろうか。今回は、そんなレッドウィングの新たな“顔”を覗いてみる。

土臭さを残しつつフォーマルにも履けるRED WINGが掲げる新しい顔。

創業110余年を超えるアメリカンワークブーツの名門、レッドウィング。日本ではハンティングブーツやロガーといった過酷な条件下で活用するシューズブランドのイメージが強いが、実は最近、「クラシックドレス」ラインなる新シリーズが好調だ。

その中身は、ブランド創業時の20世紀初頭まで遡る。当時はまだワークやスポーツ用のブーツといっても、まだまだフォーマルなデザインが多く、つま先も先芯を持たないものが多かった。レッドウィングでは、そんなブランドのルーツともいえる靴の在り方を、今日使える素材やラスト(木型)、パーツを使い、創業時から続く靴作りを具現化するシリーズをリリースしている。

1.Caverly Chukka(キャバリーチャッカ)#9096|ワークブーツブランドを代表するドレス顔の一足。

約1年履きこんだことで生まれた甲のシワ。 着用者の足の形がくっきりと表れ、深みのある革の経年も伺える。 キャバリーチャッカの経年の真骨頂だ

まず最初に取り上げる「キャバリーチャッカ」もそんなルーツモデルの一端だ。1900年代初めに実際にあった6インチ丈のブーツに着想を得て、ポストマンシューズに使われる210番ラストを使い、独特の光沢をもつエスカイヤレザーをまとって2015年に発売された。

こちらは1906 年のレッドウィングのカタログに掲載された6インチ丈のブーツ。この佇まいを再現するべく、キャバリーチャッカは製作された

こちらは2015年に発売されたエスカイヤレザーを使用したモデル。ヘファーハイド(若い未経産の牝牛の革)の銀面(革の表面)をレジンで固めたことで豊かな光沢と深みのある色合いが特徴。1920年代にレッドウィングのために開発したラバーソール、グロコードソールを底面に採用している。

今さら説明不要だが、レッド・ウィングではほとんどのモデルにグッドイヤーウェルト製法を採用する。強固ながらもソールの張り替えが可能だ
深みのある革の質感に加え、コードバンのような艶やかな光沢が魅力のエスカイヤレザー。穿きこむことで、一層味わい深い革の質感へと変化する
  • レザー:ブラック「エスカイヤ」
  • 製法:オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
  • ソール:グロコード・メダリオン
  • ラスト:No.210

キャバリーチャッカはエスカイヤレザーに加えて、ベックマンブーツに使われているフェザーストーンを採用したモデルもつくられた(生産終了)。いずれも、履くごとに味わい深いシワや革の変化を楽しめる育て甲斐のあるモデルとして人気を集めている。

2.Romeo(ロメオ)#8129|アメリカで生まれたサイドゴア「ロメオ」という名の逸材。

両サイドにエラスティックを設けたサイドゴアタイプ。着脱を容易にするヒールトップのハンドルや、他ではなかなか見かけないくるぶし丈のサイズ感

サイドゴアという言葉から、イギリス生まれのブーツのイメージが強いかもしれないが、1920年ごろのアメリカでは、紐を使わずに足にフィットさせるスリップオンタイプのオックスフォード(短靴)が「ロメオ」という名称で使われていた実績がある。

1934年のカタログに掲載されたロメオ。当時はステッチダウン製法によって作られていた
1955年のカタログに掲載されたロメオ。ヒール一体型ソールと、クッションクレープソールの2タイプが掲載されている

レッドウィングでは1934年にキップレザーを使い、ステッチダウン製法で作られたモデルがカタログに掲載されているが、こちらはレザーソールにラバーのヒールを備えたものだった。1950年代の中頃に、クッションクレープソール(現在のトラクショントレッドソール)を採用したモデルが登場し、一旦姿を消すが、1980年に再登場する。

このロメオ(現在取り扱いなし)は、ネイビーのラフアウトレザーを使い、より都会的で鮮度の高い一足に仕上がっている
  • レザー:ブラック「シャパラル」
  • 製法:オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
  • ソール:ブラック・クッションクレープ
  • ラスト:No.210

3.Irish Setter Oxford(アイリッシュセッター・オックスフォード)#9894|“茶芯”のレザーをまとったアイリッシュセッターの異端児。※終売

こちらは数カ月着用した状態のオックスフォード。つま先の擦れにより、 薄っすらと革の芯の茶色い部分が浮き出ているのが分かる。一般的なクロムレザーや染料系のレザーでは、 このような経年は起こらない

1952年、オロラセットレザーと白く底の平らなクッションクレープソールの組み合わせで、今も高い人気を維持し続けている「アイリッシュセッター」のブーツ#877は誕生した。1954年にはこのブーツの高い人気を受けて、チャッカ、プルオンタイプ、オックスフォードと、バリエーションモデルがデビューした。

1956年のカタログに、 オックスフォード#895 が6インチ#875 と並んで掲載されている

ここで紹介するのは、アイリッシュセッターのタグをまとったオックスフォード(短靴)タイプで、2015年に発売したゴールドラセット「セコイア」レザーの進化版として、「クロンダイク」レザーを使っている。ブラウンベースにブラックの塗膜を施しているため、表面が擦れると革内部の茶色い部分が顔を覗かせる、通称“茶芯”レザー特有のエイジングが楽しめる。

5 つのハトメにレザーレースの組み合わせ。 レクタングルバータックステッチも完全再現
6インチブーツと同じくふたつのパーツを縫い 合わせたモカシン構造を採用している
1954年に発表されたオックスフォード#89の誕生当時と同じ刺繍の犬タグが施される
ハイカット部分はライニングのつかない一枚 革の腰革を市革で縫い合わせている
サイズなどのスペック表記はヒール裏に刻印されている。こうした仕様も魅力的だ

このモデルは、現アイリッシュセッターの6インチ・モックトゥやラウンドトゥでも高い評価を得ている「クロンダイク」レザーを採用。履きこむことで、革の表情がどんどん変わっていくエイジングファン必見の1足に仕上がっている。

  • レザー:ブラック「クロンダイク」
  • 製法:オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
  • ソール:トラクショントレッド

▼レッドウィングについてもっと詳しく知りたい方はこちら!

どんな種類が人気? レッドウィング(RED WING)の定番モデル5選と洒落者たちのコーデを拝見!【2023年最新版】

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2023年01月23日

    【問い合わせ】
    レッドウィングジャパン
    https://redwingheritage.jp/

    情報は雑誌掲載時のものとなり、現在品番変更、後継モデル、終売の場合があります。

    (出典/「Lightning Vol.276」)

    この記事を書いた人
    モヒカン小川
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    モヒカン小川

    革ジャンの伝道師

    幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
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