【Ferrari 308GTB】公道でドライブ可能! 本格的なラリーマシンで、 ちょっとそこまで買い物に行く贅沢。

フェラーリ308は、3リッターV8をリアミッドシップに搭載して’75年にデビュー。ピニンファリーナによる流麗なボディラインと、ミッドシップならではの低いノーズラインにファンも多い。このフェラーリ308GTBはグループBやグループ4のホモロゲーションを受けており、少数ながら、ラリーでも活躍した。そんなフェラーリ308ラリーカーのカッコよさに注目したのが、オートロマンの諸井さんだ。

見た目は本格的なラリーマシンながらナンバー付きなので公道走行も可能な究極のフェラーリ!

「オートロマン」代表・諸井猛さん メルセデスベンツ190 AMG EVO II仕様(ライトニングVol.306で紹介)など、自身が好きだからという単純明快な理由で、ニッチなモデルをプロデュースするオートロマン代表の諸井さん

「ちょうどこの時代にランチア・ストラトスなんかが活躍していたので、あまり308は活躍できず、有名ではないんですが、やっぱりカッコいいんですよね」

そう語る諸井さんは、なんと市販バージョンの308をベースに当時のグループ4仕様のラリーマシンを忠実に再現。グループ4マシンのリプロダクションモデルを作ってしまった。

外観上で最も大きな違いは、大きくフレアしたリアフェンダーと、フロントのドライビングランプ、そしてストラトスと同じデザインのホイールなど。ホモロゲーションの規定によりほとんどボディラインは崩せないため、意外と変更点は少ない。

ベースがフェラーリなので、気軽にとはいかないが、ラリーマシンを公道で普通にドライブできるのがこのクルマ最大の魅力。さらにエンジンはフェラーリ328用にアップグレードされているので、軽快なドライブが可能だ!

往年のマルティニストライプがよく似合う、本格的なラリー仕様。

元々リアミッドシップにV8を搭載するフェラーリ308は、スポーツカーとしてのポテンシャルは非常に高く、外装もFRPで軽量なので、ボディも1トン強と見た目からは想像もつかないほど軽量。グループ4仕様のラリーマシンは、そこに目をつけたミケロットの手で製作された。実際にはフェラーリのサポートを受け、セミワークス体制で活動していたといわれている。

このラリーマシンを308ベースで忠実に再現。モディファイも当時の手法を参考にして行われている。取材車両はオートロマンのデモカーで、エンジンをフェラーリ328に換装してアップデート。代表の諸井さんが普段からドライブしているという個体だ。

派手な外装だけでなく、ドアを開けた内装もこだわりのディテール満載。

外装もワクワクさせてくれる「フェラーリ308」だが、その内部もまた実にワクワクさせてくれる。細かくエンジンから内装までディテールを見ていこう。

エンジン

実は328用の エンジンにスワップ

リアミッドシップに横置き搭載されるエンジンは、オリジナルの3リッターからフェラーリ328用の3.2リッターV8
にスワップ。その後ろにはコレクタータンクやバッテリーなどが設置される。

ライト

マルティニストライプを纏ったボディには、フロントフェンダー上にラリーフォグを4連装。これだけでグッとラリーマシンっぽさが倍増するから不思議だ。

足回り

ホイールはランチア・ストラトスのラリーカーと同じマービック製マグホイールを忠実にアルミ製で再現したレプリカ。フレアフェンダーに収まるリアタイヤは305/35-15とかなりワイド。

サイドウィンドー

サイドウインドーは実際のラリーマシン同様プレキシグラスに交換され、上げ下げはできない。そのためスライドウインドーが備わる。かなりスパルタンな見た目。

ミラー

ミラーはビタローニ製で、振動で倒れないようにアルミ製のステーでミラー筐体は支えられている。ステーの造形も美しい。

シフター

シンプルなボール式ノブが備わるシフターには、ゲートが備わるのがフェラーリらしい。5速マニュアルとなる。

コクピット

シンプルな平面のダッシュに必要なスイッチや計器類が並ぶラリーカーらしいダッシュ周り。アルミ製のフロアに設置されるのは、通常の吊り下げ式ではなく、フロアを支点としたオルガン式のペダル。

シート

車内にはロールケージが張り巡らされる。乗り降りはかなり大変で、実際のラリーマシンのように、ステアリングを外して乗り込むスタイルながら街乗りもこなす。

(出典/「Lightning 2020年2月号 Vol.310」)

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...