スエードを“水洗い”!? やらなきゃソンする、汚れたスエードのお手入れ術。

柔らかな毛の質感が見た目にもソフトな印象を与え、使い勝手も抜群のスエード靴(スウェード靴)。しかし起毛した間に汚れが入り込んだり、雨や油ジミが落ちにくい一面も……。「味」として楽しむこともできなくはないが、せっかくのスエードの特徴である毛足が寝てしまっていたり、目立つ汚れがついてしまっていては、魅力も半減。

はたして、そこまで汚れがヒドくなってしまったものをきれいにすることは可能なのか?

思い切った“水洗い”が愛用靴を生き返らせる!

本格的に汚れを落とすなら水洗いを、と提案するのはシューズケア用品を扱う老舗「R&D」の営業主任である畑山亮さん。

「水洗いも難しくないし、程度にもよりますが、驚くほどキレイになります。表情が一変すると愛情も深くなりますから、ぜひ一度チャレンジしてみて下さい」

Lightning編集部が畑山さんに聞いた、水洗いの方法をさっそくご紹介しよう。

正しい洗い方をマスター! さっそく水洗い開始!

01-04

【1】

丸洗いではないので内側は濡れないようにタオルを入れる。

【2】

少しずつ水をかけていく。水を含ませたスポンジからかけていく方が失敗が少なく安心だ。

【3】

スウェード用シャンプーを洗浄用ブラシに適量取る。

【4】

円を描くように泡立てながら起毛の奥の汚れまでしっかり洗う。

しっかりやりたい、脱水~乾燥。

1200_002

【5】

直接ではなく水を含ませたスポンジを使用して洗い流す。

【6】

汚れと洗剤を洗い流したらタオルで余分な水分を拭き取る。

【7】

風通しのよい日陰で乾燥させる。つま先を上げて靴底もしっかり乾かすようにしよう。

【8】

乾燥後、色の抜けがあるならスウェード用の染料で補おう。乾燥したら仕上げにブラッシングして毛並みをキレイに整えて、完成。

劇的!ビフォーアフターをご覧あれ!

1200_goal

そうして仕上がった結果がこちら。乾燥も含めてわずか半日(実際の作業は数10分)の作業で、汚れて色が抜けて毛も寝てしまっていたスウェード靴が、見違える質感へと復活を遂げた。さらにシュートゥリーを使うことで、新品時のようなフォルムをよみがえらせることも可能だ。

▼使用したのはこちら!

※ブラシとスポンジのみ

そこまで汚れてないけれど、日々のお手入れはどうすればいい?

水洗いするほど汚れてはいないけれど、ちょっと気になる汚れが出てきた……「味」と「汚れ」はまったくの別物だからきちんと日々のメンテナンスもマスターしておきたい。何より汚れが定着するのは、革にとってあまりよろしくない。

では、スエードはどうやってケアしてあげるのがいいのか? 本格的なミリタリーガーメンツのリプロダクトに定評のある「バズリクソンズ」亀屋康弘さんに自身が実践しているメンテナンス法を教えてもらった。

【用意するもの】

atc_20150610_978-4-7779-3458-4_03

亀屋さんのメンテナンスギアは、汚れ落とし用の消しゴムと、硬いテンションの毛ブラシのみ。起毛素材であるスエードに靴クリームなどの薬剤を塗り込んでしまうと、逆に汚れの原因となってしまうので絶対やめよう。スエード専用の防水スプレーだけでOKだ。

【1】消しゴムで汚れを落とす。

%3CatariName%3E1-E_MG_9958.psd%3C/atariName%3E%3CajstAnlge%3E0%3C/ajstAngle%3E

汚れは目立ってきたら消しゴムを使い、ゆっくりとこすって汚れを落とす。汚れを落とした直後はこすった部分が白浮きしたように見えるが、ブラシで表面を整えると本来の色に戻る。

【2】毛ブラシでブラッシング。

%3CatariName%3E1-F_MG_9963.psd%3C/atariName%3E%3CajstAnlge%3E0%3C/ajstAngle%3E

硬いテンションの毛ブラシを使い、全体のホコリを落とす。同一方向にブラッシングすることで毛並みが整い、毛の間に送り込まれる空気によってスウェード特有のフカフカした質感が出る。

【3】保管する。

%3CatariName%3E1-G_MG_9967.psd%3C/atariName%3E%3CajstAnlge%3E0%3C/ajstAngle%3E

スエードは表革を裏使いにしているため内部の湿気を取らないとカビの原因になってしまう。真夏など長期保管時には新聞紙を靴の中に入れて、湿気除去と型崩れを同時に防ごう。このように正しくケアすれば、それだけモノとしての寿命も延びる。放置しているスエード靴がある人は、ぜひお試しを。

▼こちらの記事もチェック!

スウェードのことを正しく知っていますか?

スウェードのことを正しく知っていますか?

2021年10月26日

(出典/「Lightning Vol.262」「Lightning特別編集 愛用品メンテ大全」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...