世界でひとつのキーボードが欲しくて、自分でHHKBのキートップをデザインする

原稿を書く仕事をしていると、一番使う道具はキーボードだ。必然的に、キーボードは一番こだわる道具になる。中でも一番仕事の道具として使うのはPFUのHappy Hacking Keyboard(HHKB)だ。

人と違う自分だけの道具が欲しい……と思う性分なので、ついに自分だけのキートップをオーダーしてしまった。遊舎工房で1万6500円(税込)。決して高くはない……と思ってしまうのは、何かが間違っているのだろうか?

理想のキーボードを求めて、遊舎工房の『HHKBキーキャップ刻印サービス』にたどり着く

HHKBは元々会社用と自宅用ということで複数持っている。理想は無刻印……と思っているが、英文字はともかく数字や記号は自信がない。文章を書いている時はタッチタイピングで打てるのだが、パスワードなどを入れる時に『3』とか、『*』とか言われると、突如わからなくなってしまう。正直に白状すると、無刻印でずっと使い続けられたことはなくて、ついつい数字や記号キーは戻してしまう。

そもそも、自分が使わないカナ刻印とかが入ってるのがイヤなのではないか?(USキーボードを使えというご批判はあるかもしれないが、私はJISキーの方が打ちやすいのだ)とか色々考える。HHKBの『雪』はかなり理想に近いが、それでも自分的には要らない刻印がある。

ならば、作ってしまえばいいのではないか?

キーボード専門店『遊舎工房』には、『HHKBキーキャップ刻印サービス』という素晴らしいサービスがある。

遊舎工房  HHKBキーキャップ刻印サービス
https://shop.yushakobo.jp/products/hhkb_keycaps_marking?variant=43404536512743

Illustratorデータを入稿して、1万6500円(無刻印キーボード代含む)を支払えば、そのデータに基づいて、レーザープリンターを使ってキートップをプリントしてもらえるのだ。これにチャレンジしてみよう。

Adobe Illustratorでデータを作る

が、哀しいことに、私は、Adobe Illustratorを使う能力がない(汗)昨年から、1年間のライセンスを使ってなんとか使いこなせるようになりたい……と思っていたのだが、結局1年の間、ロクすっぽ勉強をしておらず、まだ使えないのだ(本は買ったりした(汗))。

しかし、オリジナルキーボードを作りたいという情熱に任せてチャレンジしてみることにした。なにしろ、PFUが用意してくれたテンプレートも、サンプルもあるのだ。それを元に、自分の好きなようにアレンジするぐらいならなんとかなる(かもしれない)、と思って、ファイルを開いた。

シンプルなキートップが欲しいと思っていた。

しかし、こうやってみると、シンプル側はかなり『雪』の製品版に近くなりそうだ。

せっかく、オリジナルデザインにするなら、個性的なデザインにしよう、と思った。

そこで、墨の方に個性的なフォントでデザインすることにした。

Adobe Fontsでフォントを探す。

最初は、手書き風のフォントを探そうとしてみた。カリグラフィ調というのもいいかもしれない。しかし、キートップにこの文字が並んでいるのを想像すると、どうもまとまりがなくなりそうだ。

筆ペン……これも、合わなさそう。イタリックがかかった文字はキートップにフィットしなさそうな気がする。

個性的といえばアール・デコ……と思ったのだが、これもまたフィットさせるのが難しそうだ。面白いとは思ったのだが、あるていどの視認性も必要だし、これらのフォントで文字を大きくすると、ちょっとうるさそうだ。

最終的に、私が選んだのはこちら。

EllaのBrutalist Regularというフォントだ。こちらをダウンロードして、テンプレートの上に並べ始める。

Illustratorシロウトなので、ちゃんと間隔などを整えるのが難しいが、そこは感覚でなんとかする。

最初は英数字だけやろうとしていたのだが、最終的には記号も、shift、control、⌘などの特殊キーも、このフォントで統一した。かなり細かい作業になったが、実に楽しい作業だった。

左下には、ThunderVoltロゴなんかも入れてみた。

これを墨に刻印したら相当カッコいいんじゃなかろうか? これは仕上がりが楽しみだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Pick Up おすすめ記事

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...