Stevenson Overall Co.デザイナーの多賀谷さんが選ぶ、俺視点の古着やアンティークたち。Vol.18

ヴィンテージやアンティークと呼ばれるアイテムは、現代のプロダクツでは味わうことができない雰囲気だけでなく、まだ技術が未熟だった時代のクラフト感やマシンメイドではない時代ならではの魅力、それに年月が生み出した風合いがある。いわゆるアンティークの世界では、いろいろなカテゴリーで価値基準がある程度確立されてはいるけれど、そんな世間のものさしではチョイスしないのがデザイナーの性分。新しいモノでも旧いモノでも、自分目線のものさしを大事にしているスティーブンソンオーバーオールのデザイナーである多賀谷さん。彼の古着やアンティークの選び方は、一般的な価値だけにとらわれることのない、その独特な審美眼も含めて参考になる。

多賀谷強守さん|機能服として生まれたヴィンテージのワークウエアやミリタリーウエアに、もしデザイナーが存在していたらという世界観をプロダクツに落とし込むStevenson Overall Co.のデザイナー。独特なセンスと縫製仕様にまでこだわりを持ったアイテムたちは、日本のみならず世界でも高い評価を受けている。http://www.soc-la.com

瞬間的なインスピレーションが「買い」という指令を出す。

1970s Champion Reverse Weave Parka

首周りにかなりのダメージがある鮮やかなレッドのリバースウィーブ。 その鮮烈な色味やプリントのデザインだけでなく、首元にある大きなアイレットが実に良いバランスだったというのが手に入れたポイント。リバースウィーブのスウェットは意外にもあまり持っていなかったけれど、ここ最近の一周回った流行に後押しされて、あらためて手に入れてみる。こうなると拍車がかかって数枚手に入れてしまいそう。

1942 Indian Scout

バイクを先に買ってしまえば大型自動二輪の免許を取りにいくだろうと約10年ほど前に手に入れた車両。ミリタリースカウトのエンジンに換装されたボバースタイルになっていて、そのスタイリングに惹かれただけでなく、車格も小さいし、軽いので私にはちょうどいいサイズ感だった。ただ、こいつを手に入れたおかげで奮起して無事に免許は取得できたんだけど、まったく乗らず、10年も持っていて先日初めて乗ってみたという状況。毎日これに乗って楽しむまでの道のりは長そうである。 

1980s Levi’s Denim Jacket

我々の世代ではヴィンテージというよりはレギュラー古着と言った方がいい時代のLevi’sのジージャン。スラッシュポケットがデザインされた古着としての価値はさほどない何てことない後染めモデルだけど、 その鮮やかなイエローが気になった。同時にデニムのオーバーオールも手に入れたので、これを合わせて着たらおもしろいと思っただけ。オーバーオールはまたの機会に紹介しようかと。

Dry Flower

青山の国連大学で毎週土日に開催されている青山ファーマーズマーケットを歩いていたときに、花の匂いに吊られて見つけたフラワーショップで買ったセミドライフラワー。種類は店主に見繕ってもらってこんなセットになった。組み合わせるユーカリの匂いはリラックス効果があるようで、イライラしがちな私にはぴったりである(笑)。花でさえも生花ではなく古いモノを選んでしまうというのも性格なのだろうか。

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ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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