Stevenson Overall Co.デザイナーの多賀谷さんが選ぶ、俺視点の古着やアンティークたち。Vol.03

時代を経ても廃棄されることなく現代まで生き残った古着やアンティークたちは、現代のプロダクツでは味わうことができない風合いだけでなく、まだ技術が未熟だった時代のクラフト感やアナログな時代ならではの良さがある。

いわゆる古着やアンティークも愛好家の間では価値基準がある程度確立されているとはいっても、そんな一般的なチョイスでは選ばないのが独自のものさしを持っているデザイナー。

世の中の価値基準よりも自分目線のものさしを大事にしているスティーブンソンオーバーオールのデザイナーである多賀谷さんの古着やアンティークの選び方は、その独特な審美眼も含めて参考になる。

多賀谷強守さん|機能服として生まれたヴィンテージのワークウエアやミリタリーウエアに、もしデザイナーが存在していたらという世界観をプロダクツに落とし込むStevenson Overall Co.のデザイナー。独特なセンスと縫製仕様にまでこだわりを持ったアイテムたちは、日本のみならず世界でも高い評価を受けている。http://www.soc-la.com

年代的な価値よりも自分が惹かれる「何か」が大事。

Atayal people’s National Costume

台湾のタイヤル族の民族衣装はインディゴ染めの生地をベースにすばらしい配色で構成されている。ファッションというものさしが無いからこそ、伝統やその民族の文化によって生まれるデザインはいつも勉強になる。もちろん大量生産されたモノではないので年代特定は難しい。

Vintage Pull-over Shirt

薄手ながら丈夫なキャンバス地で縫製はすべて本縫い(1本針縫製)仕様。バックヨークやカフス部分はギャザーになっているシンプルながら考えられたデザイン。年代まで特定できないけれど、おそらくかなり旧い時代のワークシャツだと想像できる。購入の決め手になったのは微妙な汚れ具合とその存在感。

Vintage Chore Jacket

ムラ感のかなり強いコットンツイル生地にパッチポケットという極めてシンプルなカバーオール。フロントのポケットはすべて同じ大きさのモノを3つ配置するというやる気の無いデザインだけど、そんな洗練されていないところが逆にヴィンテージのワークウエアらしくてカッコいい。

Vintage Aviator Sunglasses

パリのミリタリー系ヴィンテージディーラーのショールームで見つけたデッドストックのサングラス。フランス製のアビエーターモデルで、ラウンドしたテンプルやクラシカルなノーズパッドなど、現代のサングラスとはまったく違う雰囲気。ただ、かなりインパクトのあるモデルなので、普段使いするかどうかは未定。

1941 British Army Boots

英国陸軍に支給されていた編み上げブーツ。さすが英国だと思わせるビスポークのような美しいシルエットだけでなく、オリジナルでは無いグレーのシューレースにカスタムされていたのが決め手。欠品していたシューレースをあえてグレーで代用するセンスに感心した。ミリタリーモノなので、支給年度がスタンプされ、年代特定ができるのもいい。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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