機能美という家具選び。vol.29「1910~’30s Shoe Shine Stool」

とかくファニチャーといえば、デザイナーやそのデザインセンスによって名作と呼ばれることがあるが、そんなファニチャーの歴史の裏側には、その対極にある機能美あふれるファニチャーも存在する。見た目こそ派手ではないが、そんな質実剛健なヴィンテージファニチャーにスポットを当ててみる。

1910~’30s Shoe Shine Stool

1910~’30年代ごろのものだと思われるジャパンカラー。照明やハンガーラックなどは見かけるが、シューシャインスツールは珍しい。延長されたシューモールド部分に靴を乗せて使う靴磨き専用チェア。¥96,800_

星の数ほどあるファニチャーも、かつてのデザイナーが様式美やデザインセンスを駆使した美しさとは対極にあるのがインダストリアルファニチャー。

当時の公共機関や、病院や工場、それに店の什器といった分野で使われていたものたちで、それらの持つデザインはすべて機能特化によるもの。美しく見せるよりも、長く使えて機能的なスタイルが重視されたが、その中でもジャパンカラーと言われる仕様だけは、インダストリアルファニチャーのなかでも異彩を放つ。

これは当時の日本の漆塗りをモチーフにしたもので、鉄の表面にカッパー色で模様が描かれる。戦前のプロダクツに見られることが多く、今ではコレクターズ・ファニチャーとして多くのファンが存在する。

【DATA】
Rose Bowl Antiques
宮城県仙台市若林区伊在2-22-3
Tel.022-369-3442
営業/10:00~18:00
休み/無休(年末年始を除く)

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2022年12月号 Vol.88」)

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