【鐵馬乗り的銘品図鑑】アメリカを象徴するタフで華麗なワークウエア「ROCKMOUNT Western SHIRT」

世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップしていく。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。

ウエスタン文化を体現する銘品

今回ピックアップするのは、ジーンズと並んで、アメリカを象徴するワークウエアである「ウエスタンシャツ」。多くのメーカーがこのタイプのシャツを出しているが、今回は1946年に創業されたウエスタンシャツ専任ブランドである「ロックマウント」をクローズアップしたい。

そもそもウエスタンシャツとは、テキサスやニューメキシコを中心に牧畜をしていたカウボーイのために作られたワークウエア。1800年代にはカウボーイの仕事が確立しており、さまざまな諸説があるが、そのころからウエスタンシャツの原型があったとされている。1930年代に入ると、1929年に勃発した世界恐慌の影響もあり、西部の牧場経営が困難になったことで、“デュード・ランチ”と呼ばれる牧場を一般開放し、観光地化した施設が次々とオープンする。またこの年代より西部劇が人気を博していったこともあり、ウエスタンブームが起こり、ウエスタンシャツはワークウエアからファッションウエアとして進化した。

この年代に「リーバイス」や「リー」などの大手メーカーがこぞってカウボーイジーンズやデニム製のウエスタンシャツなどをリリースしたことで、一気に市民権を得たことも大きい。その結果、堅牢性だけを求めていたワークシャツに、派手な装飾や刺しゅうなどが加味され、ウエスタン文化の象徴としても認知されていく。

そんなウエスタンブームの真っ只中で、戦勝国として大きく経済成長していく前夜となる1946年にコロラド州デンバーで生まれたのが、ロックマウントだ。いまでもメイドインUSAを貫く老舗であり、創業者であるジャック・ワイルは107歳で亡くなるまでCEOを務め、アメリカでは最年長のCEOとして知られていた。いち早くファッションに特化したウエスタンシャツをリリースしており、ヴィンテージ市場でも人気が高く、鉄板アイテムとして名高い。またさまざまなショップやブランドからの別注も多くあり、生地やデザインのバリエーションが多いため、人と被らないのもハーレー乗りには大きなメリット。王道のサテンからチェック地、デニムなど、いまの暖かい季節でも快適に着られファブリックが多くそろっている。

ウエスタンシャツの大きな特徴は、肩にロープをかけるため耐久性を考慮したウエスタンヨークと、牛の角などに引っかかった際に安全性を担保したスナップボタンだ。また木陰のない広大な牧草地で仕事をするため、基本的にロングスリーブであることも欠かせない要素。その耐久性や利便性は、ハーレー乗りが求める機能性とリンクしており、フラワームーブメントで賑わった70 年代には多くの鉄馬乗りが愛用していた。細身のシルエットなので風のバタつきも抑えられ、薄手の生地が多く、ソデが長く設定されているため、夏場も快適で日焼けも防いでくれるのも魅力。そしてグローブをしたままでもスナップボタンを開閉でき、温度調整がしやすい点などメリットは大きい。ハーレー乗りのユニフォームでもあるジーンズとも相性抜群なので、ぜひとも試してほしい逸品である。

ROCKMOUNT Western SHIRT/1万6500円

タグのデザインから1960年代ごろと判別できるロックマウントの定番ウエスタンシャツ。イエローカラーが際立つ平織り生地を使っており、薄手ながらもタフな仕上がり。胸のノコギリ型のフラップや装飾性のあるバックスタイルのウエスタンヨークなど、カウボーイシャツの醍醐味が詰まったグッドデザインとなっている。

この記事を書いた人
CLUB HARLEY 編集部
この記事を書いた人

CLUB HARLEY 編集部

ハーレー好きのためのマガジン

ブランドとしての知名度が高く、独自のアパレルにもファンが多いハーレーダビッドソンは、バイクにあまり馴染みのない『ごく普通の人』にも大変な人気を博しています。バイクの知識がない人はもちろん、今日ハーレーのことが気になり始めた人、そしていまハーレーが好きで好きで仕方ない人たちも満足のいく情報を詰め込んだ雑誌が『クラブハーレー』です。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...