これがアメトラのマスターピース。トラッド巧者が選ぶ名品4選。

トラッド巧者が「手放せない」と語るアメトラ名品。それぞれの個人的なエピソードや、いまだからこそ感じる魅力を織り交ぜて紹介する。

01…G.H.BASS / LOGAN|現代のアメトラに欠かせないローファーの原点。

現代のアメトラにおいて欠かせないペニーローファー。歴史を変えたと言っても過言ではない、そんなアイテムを初めて世に出したのは「ジーエイチバス」だ。そんな同ブランドを日本で取り扱う「GMT」の三浦さんが「ジーエイチバス」と初めて出会ったのは20年以上前。

「初めて履いたのは大学生の頃ですね。千葉の古着店にデッドストックでバーガンディの[ローガン]が3足、それもマイサイズが並んでいて、まとめて買ったのを覚えてます。それから、もう20年以上[ローガン]だけで10足以上は履いてきました。

元々、学生が始めたアイビーファッションで履かれてきた歴史があるので、比較的安価で買えるもののほうが、よりリアルに愛用されていたと思うんです。それでいて、ずっと変わらないクラシックなつくりも「ジーエイチバス」の魅力ですね」

Recommender:GMT/ミウラシュランさん|世界中の靴を取り扱うインポーター「GMT」のプレス。趣味は日本の伝統演芸である落語鑑賞だが、最近は神田伯山の講談に夢中。

02…BARACUTA / G-9|アメリカというフィルターを通した英国の定番。

くろすとしゆきさんの著書に載っていた白黒写真の「バラクータ」[G9]を目にして「こんなに格好いい服があるのか」と衝撃を受けたという玉木さん。それから50年、当時感じたその気持ちは変わっていない。

「高校生の頃、[G9]を本で見つけた時は、どこのブランドなのか分からず、探し回ったのを覚えています。たまたま東京へ行く機会があり、上京していた大学生の先輩に会ったのですが、偶然[G9]を着て来たんです。すぐ売っている場所を教えてもらい、連れて行ってもらいました。今となっては当たり前ですが、裏地にチェックを使ったジャケットなんて、当時は本当になかったんです。

その当時は英国発祥ということすら知りませんでしたがアイビースタイルというアメリカのフィルターを通して目に留まったアイテムは、僕にとってアメトラです」

Recommender:セプティズ/玉木朗さん|三軒茶屋で20年以上続くトラッドショップ「セプティズ」のオーナー。最近の休日は、昔に見た古い映画を見直しながら過ごしている。

03…JULIUS TART OPTICAL / AR|完成されたデザインが世のアイウエア好きを虜にする。

アメリカのクラシックなアイウエアといえば真っ先に思い浮かぶのが「タート オプティカル」の[アーネル]だろう。そんな1970年代に生産終了した同モデルの意志を継ぐ「ジュリアスタートオプティカル」の[AR]こそが漆畑さんが考える究極のアイウエアだ。

「計算されたフレームの太さとボリューム、着用者を選ばない完成されたデザインなど魅力を挙げればキリがありません。自分自身は定番中の定番であるがゆえにあえて購入せず、約10年ものあいだ、お客様に提案し続けてきましたが、最近ついに手に入れました。当時はアイビーやプレッピーといったアメトラスタイルに合わせることが定番でしたが、現代ではビジネスシーンなど、合わせるスタイルは広がっているように感じます。

これからもお客様に提案し続けていきたい不朽の名作ですね」

Recommender:グラッシーズ/漆畑博紀さん|「G.B.ガファス」、「デコラ」を統括するグラッシーズの常務取締役兼プレス。アイウエアを軸としたコーディネイトにも定評あり。

04…Levi’s / 501|アメリカの伝統はこの一本に帰着する。

「リーバイス」のパンツは、映画スターの着用により“不良の象徴”として認識され、若者を中心に受け入れられた。そんな話が有名なあまり、アメトラとの関係性はやや希薄に見える。アイビーリーガー=チノパンという印象が強すぎるせいかもしれないが、たとえば名著『TAKE IVY』にも、ジーンズ姿の生徒たちが確かに写っているのだ。それを教えてくれたのは、大貫達正さん。

「『TAKE IVY』に限らず、昔の資料を見てみると、ジーンズを穿いているアイビーリーガーをよく見かけます。それはあくまで“アメトラ”というスタイルの話ですが、単に“アメリカの伝統”という意味においても、ジーンズ以外にはないと思っています。

ちなみに、501XXのギャラ無し最終期にあたる60年代初頭のシルエットが一番トラディショナルに穿ける形でおすすめです」

Recommender:サンタセッ/大貫達正さん|「ウエストオーバーオールズ」をはじめ、多くのブランドを手がけるデザイナー。2020年にアポイント制の「サンタセッ」を始動。

(出典/「2nd 2024年11月号 Vol.208」)

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2nd 編集部
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