廃校を改築した「ジュリアスタートオプティカル」を手がける「ザ・ライト」の鯖江にある自社工場に潜入!

メガネの製造は分業制だ。我々が想像する何倍もの人が1本のメガネを触って、そうしてメガネはできている。なかでも、世界中のメガネブランドを支える鯖江はその根幹を担っていると言っても過言ではない。そこで自社工場を2つ所有している「ジュリアスタートオプティカル」を手がける「ザ・ライト」の自社工場に潜入、製造へのこだわりを伺った。

エネルギーに溢れる鯖江に誕生した新旗艦

ほとんどのメガネが分業制で作られているなか、自社工場を持つことは、コスト面や仕上がりにおいて大きなメリットである。特に「ジュリアスタートオプティカル」を手がける「ザ・ライト」は自社工場を2つ所有している。ひとつは金型やサンプルを作る第一工場。そして、幼稚園を改装し2022年から始動した、磨きや仕上げを行う、第二工場だ。

「ザ・ライト」ブランドの人気の高さゆえか、職人志望の若者が入社を熱望するケースも増えているという。代表のタミー・オガラ氏の采配による、工場にしてはスタイリッシュな内観や、アットホームな雰囲気に、鯖江におけるメガネづくりの新たな一面を垣間見た。

長らく日本を拠点に活躍する代表兼デザイナーのタミー・オガラさん。アーティスト気質の彼は工場内にアトリエを構え、時に絵を描いたりも

13名の職人が在籍しているこの工場だが、うち4名ほどが20代。なかには「ザ・ライト」のメガネに憧れて、はるばる職人になるべく九州から鯖江に移住したという強者も。取材当日も20代前半の入社希望者が面接を行っていた
「ネイティブサンズ」、「マックス ピティオン」など、数々の人気ブランドを手がける「ザ・ライト」。それらのメガネももちろんこの工場で、磨きや仕上げを行っている

特筆すべき独自の工程「スパイラルガラ」

「ザ・ライト」で使用しているアセテート生地はすべて、名門のタキロン社にオーダーして作っている。強度が高く経年劣化も少ないうえ、肌との相性もいい良質素材だ

「ザ・ライト」が最も得意とする工程が「磨き」である。メガネというのは、生地から型を削り出した段階ではまだ角張っている状態だが、ガラと呼ばれる研磨用チップの入ったバレルに入れて回転させることで、一気に丸みを帯びる。

これを「ガラ入れ」と呼ぶが、通常は縦に回転するバレルのみを使用するところ、「ザ・ライト」では縦回転に加えて、斜めに回転するバレル、通称「スパイラルガラ」という工程がプラスされる。これに人の手による入念な磨きも加わり、より滑らかで美しい仕上がりが得られる。

「ジュリアスタートオプティカル」の[AR]の最新色ブラックシャドウに注目

ジャケット6万500円/ザ コロナ ユーティリティ(BAKU TEL03-6300-5043)、BDシャツ3万3000円/インディビジュアライズドシャツ(メイデン・カンパニーTEL03-5410-9777)、タイ1万7930円/サウスウィック(シップス 銀座店TEL03-3564-5547)

60年代製造の[AR]に存在した、誤った向きで生地をカットしてしまった個体から着想を得た、独特なグラデーションの1本。4万5100円(プライベート アイズ アンド トラッカーズTEL070-1577-2666)

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2024年4月号 Vol.203」)

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パピー高野
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パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
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