テリー・エリスと北村恵子の“道具服”。

202210月に開店した「モギ フォークアート」は「服=道具」を体現するショップ。営むふたりの道具服とは?

テリー・エリスさん|1962年、ジャマイカ生まれ。7歳まで一緒に暮らしていた祖母がジェネラルストア(雑貨店)を営んでいて、彼も店番をしていた。その思い出を胸にモギ フォークアートでの接客も楽しんでいる
北村恵子さん|1984年に渡英。翌年に開設したビームスのロンドンオフィスにテリー・エリスさんと共に参画。94年にビームスモダンリビング、97年にフェニカを始動。22年、モギ フォークアートを開店

1.もんぺ|お店の内装を作り込む作業時、一緒に過ごした相棒たち。

もんぺを現代の生活に馴染ませるため、モダンな柄の久留米絣を採用。サイズ展開はMとL。Lを選べば、男性も穿けるはず。次回の入荷は23年3月頃になる。1万6500円~(モギ フォークアート TEL080-8058-1761)

「服とは自分を表現するための道具だと私は思います。機能性を第一に考えられたミリタリーウエアやワークウエアもまた道具だと定義できるでしょう」

この世界の美しいものを歴史の片隅に埋もれさせておかず、現代の生活のど真ん中に押し上げてきた北村恵子さん。彼女の視線は鋭くて優しい。日本にはトラディショナルなワークウエアが存在している。

「もんぺもそうです。女性向けの農作業着として日本の尊い風景を作ってきたものですね。素材として多く使われてきたのが久留米絣です。夏には高温多湿になる日本の気候に適した通気性の良さ、そして重労働にも耐え得る強度があります。

久留米絣の魅力に惹かれ、私は以前から様々な形で愛用してきました。久留米のオカモト商店さんが手掛けたものをカスタマイズして着用しています」(北村恵子さん)

2.手ぬぐい|いつでもサッと巻けるようにバッグのなかに常備。

日本の民藝と深くつき合っていくなかで、自然と自身のスタイリングに取り入れるようになっていったという手ぬぐい。これらは、どちらも頂きものだ。感謝を表すノベルティに手ぬぐいを使うという文化も含めて心酔!

テリー・エリスさんはビームスのロンドンオフィスに参画する以前、現地のセレクトショップでバイヤーとして働き、ザ・スタイル・カウンシルなどミュージシャンのスタイリングも行っていたという洒落者だ。

「時や場所、会う人に適したスタイルにまとめるのはもちろんのこと、そこからどれだけスタイリッシュにしていけるか、いかにしてパーソナリティーを表現していけるか。私にとって、装うとはそういうことなのです。

そこで、ひとつの道具のように活躍してくれるのが、日本が誇る手ぬぐいで す。フィンランドのマリメッコ、フランスのシャルべ、英国のターンブル&アッサーといった具合に、私は国もテイストも異なる様々なシャツを愛用しています。今日はイタリアのピオンボです。どのシャツの襟元に置いても手ぬぐいはしっくりきます」(テリー・エリスさん)

(出典/「2nd 20232月号 Vol.191」)

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2nd 編集部
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