トラッドに欠かせない紺ブレの定番モデルを業界人がレコメンド! 【おすすめ6選】

1960年代、1990年代と度々ブームが巻き起こる紺ブレ。そして今また注目を集めている。そこで「定番」「新作」「変わり種」の3カテゴリーに分けて紺ブレを徹底レビュー。ひたすら試着&比較を繰り返した結果見えてきた微差の魅力、そして一家言ある3名が思う今どきの紺ブレ論を語り合う。今回は「定番紺ブレ」を見ていこう。

「ドゥエア・インク」手塚直樹さん(左)

ルイジ ボレッリやステファノ ビジなど、イタリアの名門ブランドのエージェント。コロナ以前はピッティにも毎回参加し、ドレスウエアの最前線を熟知。

「ボンビュー」オーナー・大島拓身さん(中央)

長らくドレスの世界に身を置きつつ、ヴィンテージ好きが高じて2019年に自らのショップ「ボンビュー」を始動。現在は高円寺屈指の人気店として話題を集める。

フリーPR・柳 雅幸さん(右)

メイデン・カンパニーでMD・営業・PR などを務めた後、2022年に独立。アメリカンウエアの造詣を活かし、フリーランスのPR&ブランドプランナーとして活躍。

1J.PRESS ORIGINALSJ.プレス オリジナルズ)|アメトラの基本が凝縮された絶対間違いのない一着。(柳)

「ペピンメリノ」と名付けられたオリジナルのニュージーランド産ウールを使用。さらりとした平織り生地で、軽快な印象も備える。6万7100円(J.プレス&サンズ青山TEL03-6805-0315)

 これぞアメトラブレザーの王道! という一着ですね。

大島 段返りの3つボタン、ナチュラルショルダー、袖の2つボタン、パッチ&フラップのポケット、フックベント……紺ブレの象徴的ディテールがすべて盛り込まれています。さすが老舗。

手塚 直球トラッドですけれど、不思議と野暮ったくはないですね。ウエストシェイプの緩いボックスシルエットですが、ダボっとせずちょうどいい塩梅。

 それと、色味もいい。青味が強いネイビーだと少し着こなしが難しかったりしますが、これは濃紺なので合わせやすそうです。

大島 やっぱり正統派は魅力的ですね。J.プレスは由緒正しきアメトラブランドですし、定番紺ブレを求めるならこれを買えば間違いなし、という感じです。

手塚 ストーリーのある名品は男心をくすぐりますよね。

 この偉大なベーシックをどう着こなすか、それを考えるのも楽しい。僕ならキャップにチノパン、キャンバススニーカーを合わせてラフに着崩しますね。

2BEAMS PLUS(ビームス プラス)|古きよきアメトラムードが今再び新鮮! (柳)

1950~60年代のアイビースタイルにインスピレーションを得て製作。ボタンの左右間隔が狭めで、ダブルブレストを着慣れない人にもとっつきやすい。4万1800円 (ビームス プラス 原宿TEL03-3746-5851)

大島 これは懐かしくて新しい、というムードでしょうか。ゆったりしたシルエットで、スタンダードな6つボタンではなく4つボタン。袖もやや太めな印象です。

 旧きよきアメトラブレザーの雰囲気をしっかり踏襲しているのですが、それが今再び新鮮に見えますね。野暮&洒落な魅力が漂う一着です。

3OLD ENGLAND(オールド イングランド)|フレンチトラッドの名門も国際的に進化しています。(大島)

ツヤ消しシルバーのドームボタンにパリ的な気品を感じさせる。ドレッシーなフラップポケットのため、エレガントな服装が合う。8万2500円(オールド イングランド 広尾店TEL03-3443-2002)

大島 実は僕が今日着ているブレザーもオールド イングランドで、こちらはヴィンテージなのですが、やはり現行品はかなり作りが違いますね。肩パッドが省かれていて、モダンに軽快化されています。

手塚 生地も比較的ライトウェイトで、ハイブリッドな表情に仕上げられてい ますね。

大島 ただ、やはりどこかパリの匂いを感じさせます。紋章入りの渋い銀ボタンがいい表情を演出していますね。

4ORCIVAL(オーシバル)|アウターと紺ブレのハイブリッド。(大島)

ゴージライン(上襟と下襟の繋ぎ目)が低く、ラペルを広めにとっているのが特徴。重心を下げた佇まいにより、力の抜けた雰囲気を醸し出すことができる。3万7400円(ビショップTEL03-5775-3266)

大島 定番のボーダーカットソーはベーシックな顔つきですが、こちらのブレザーはかなりモダンなテイストが強いですね。

 ローゴージでボタン位置も低め、ドロップショルダーでゆったりとしたフィット感。胸ポケットや袖ボタンが省かれていて、カジュアルな作りになっています。

手塚 ジャケットというよりは、アウターを羽織る感覚で着こなせるアイテムといえますね。

5H by FIGER(エイチ バイ フィガー)|スリムなシルエットと構築感が特徴的。(手塚)

旧きよきアイビーブレザーをオマージュした定番。希少性の高いアルプスメリノウールを贅沢に採用し、リッチな本格感をいっそう高めている。5万3900円 (ZABOU TOKYO TEL03-3461-7773)

手塚 これは結構独特なシルエットですね。着丈が短く、全体的にコンパクトに作られています。でも、肩幅は広めでウエストにはシェイプが入っている。

 ディテールはアメトラなんですが、シルエットは独自にモディファイされています。なんとなく、体格のいい人が着ると似合いそうなイメージですね。

大島 結構カチッとした構築感があるのも特徴だと思います。タイドアップスタイルにはもちろん合うと思いますし、カジュアルに着てもきちんと感が漂いますね。

6Pt.AlfredPt.アルフレッド)|ボタン2つ留めもクールに決まりそう。(柳)

ウールにナイロンを10%ミックスすることで、ボリュームのある紡毛素材ながら軽やかな着心地も実現。裏地や肩パッドを省いた仕立ても現代的だ。5万2800円 (Pt.アルフレッドTEL03-3477-7952)

手塚 実際に羽織ってみるとボタン位置の高さが印象的ですね。

 段返りがややソフトなのも特徴ですね。もしかしたら第1・第2ボタンをふたつ留めて着てもいいのかも。

大島 袖ボタンが3つで、端が重なるように付けられていますね。ボタンを重ねるのはイタリア的なので、ミックステイストということでしょうか。

 Pt.アルフレッドの定番チノとは抜群に合いそう!

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 202212月号 Vol.189」)

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2nd 編集部
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